関西コミティア54

関西コミティア54おつかれさまでした。当方のスペースにお越しくださった方、ありがとうございました。 はじめての遠征でした。以下、大阪観光と関西コミティア54の簡易レポです。 前乗りした19日、新大阪駅から万博記念公園駅へ移動しました。駅に近づく電車からはっきりと見える太陽の塔。 森美登美彦先生の『太陽の塔』を読んでから、一度生で見てみたかった。実物を見ることができてよかったです。想像していたよりずっと大きかった。 午後の日も傾きかけていたので、ダッシュで公園奥にある国立民族学博物館へと急ぎました。国立民族学博物館は、世界中の衣服、生活用品、農具や道具、神像のレプリカなどを展示しています。

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入館して最初に目にしたのは、オセアニアのカヌー。

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実際に航海に使用されたものだとか。伝統的航海術も紹介されていました。機械のない時代、星と波、風を読む力を使い、オセアニアの人々ははるか遠い島まで航海をしていたようです。すごい。 ピクサーの「モアナ」が大好きなので、テンションあがりました。航海術だけでなく、生活に使われた道具や料理の方法、祭礼の衣装なども紹介されていました。 衝撃的だったのは、倒した敵の死体の肉を食べるための人肉食フォーク。

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知識として人間に共食の歴史があることは知っていましたが、そのための道具を生で見る機会が得られるとは。ビビりすぎて写真を撮ることをためらいました。 共食(カニバリズム)については以下のような見解が示されています。

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アフリカコーナーでおもしろかったのは、植物を編み動物を模して作った大きな籠のようなもの(ニャウとニャウ・ヨレンバ)に人が入り、亡き人の魂を弔う儀式の様子を記録した映像。

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葬送儀礼なのですが、どこか明るく楽しい雰囲気があり、おおらかなアフリカの風土を感じました。みんな夜通し歌って踊って、死者の魂を見送る…という感じの映像だったような。 音楽展示コーナーには、世界中の楽器が展示してありました。はじめて生でガムランを見ました!想像していたより大きかった(2回目)。ガムランの音色が好きなのですが、どういう楽器から出る音なのかは知りませんでした。いろいろな種類や大きさがあるようです。 アメリカコーナーでは、さとうきびからさとうきびエキス(?)を採取する映像や、そのための道具(圧搾機)が展示されていました。切り取ったさとうきびの茎を水で洗い、牛を使って回転させる石柱の間に挟んで、茎を割ってエキスをしぼり出します。思わず、す、すげー!と声が出そうになった。おもしろかった…。さとうきびエキスはそのまま使ったり、煮詰めて黒砂糖に加工するそうです。ふだん、黒砂糖を使う機会があっても、どうやってさとうきびから砂糖になるのかまでは想像すらしませんでした。こういう方法があるんだとわかって、とても楽しかったです。 先住民の宗教とキリスト教が融合したふしぎな祭壇も見れました。

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マヤ人の世界観を現した巨大な石板が展示してありました。「アステカの暦石」というそうです。世界は何度も滅びてははじまる…という世界観なのかなと思いました。道中読んでいた「いちばんわかりやすい インド神話」でもヒンドゥー教では世界は何度も滅びるというような思想があると書いてあって、おもしろいなあと思いました。人類が経験したさまざまな天変地異を、神話や暦という形で記録しているのだろうか。 ヨーロッパコーナーで印象に残ったのは、カラフルでインパクトのあるルーマニアの「陽気な墓」。興味深かったです。

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南アジアコーナーには大量の神像が! 新幹線で「いちばんわかりやすい インド神話」を読んでいたので、神像を目にするたび「本で紹介されてた神様だ!」と進研ゼミ体験ができました。躍動感あふれる神像に囲まれて、立体マンダラが置いてありました。南アジアコーナーは、全体的に躍動感あふれるカラフルでちょっとカオスな雰囲気でした。 中華コーナーには花嫁の嫁入り用の輿が展示されていました。近くで見ると細微な装飾が施してあり、とてもきれいで華やかでした。花嫁、花婿の衣装も展示してありました。

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日本のコーナーには大量の幣としめ縄飾りが。こんなにバリエーションがあるのかと、驚きました。

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わくわくしながら館内を見ているうち、あっという間に閉館時間のアナウンスが。そして空腹も限界に[朝から肉まんと天むすしか食べてなかった]。残念ながら今回の旅では東アジアコーナーはかなり駆け足な見学となりました。もしまた行けるなら、今度は電子ガイドを借りてゆっくり見たいな…。 駅に戻り、そのまま梅田へ。レイトショーの『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を見ました。

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ヒンドゥー教を信じるインド人の主人公のおじさんと、イスラム教を信じる口のきけない少女のロードムービー。 主人公のバジュランギおじさんは熱烈なハヌマーン信者。ハヌマーンは『ラーマーヤナ』に登場する神様です。ラーマ王子がさらわれたシータ姫を救出する際、大活躍するらしいです。このハヌマーンは斉天大聖孫悟空のモデルとなったと言われているらしいのですが、そこで気になることがひとつ。映画『西遊記ヒーロー・イズ・バック』が公開された際、現地中国では斉天大聖は子どもの守り神として信仰されているという情報をTwitterで見かけたのですが(ソースを探したけど見つけられなかったので、もしかしたら記憶違いかも…)、ひょっとしてハヌマーンにも子どもの守り神とされるような信仰があるのかな…?と一瞬、思いました(たぶんないと思う)(知らんけど) そういえば、『ヒーロー・イズ・バック』も、三蔵ポジの幼児を、”力を失った”(ある意味では、身をやつした)悟空(猿)が守ろうとするロード・ムービーでした。 『バジュランギおじさん』も『ヒーロー・イズ・バック』も、『 弱きを助け強きを挫く 』というおそらく万国共通の英雄の必須条件を示し、『一見パッとしないけど、本気になるとすごい』主役が活躍する『やつし』のからくり、『旅もの』の醍醐味( 旅先で出会う人々のやさしさや、旅仲間との間に生まれる出自を越えた信頼 )によって、観る人を勇気づける構造なのかなと思いました。 主人公のバジュランギおじさんが所属するコミュニティを出て、ツテやコネを捨てた一個人として行動するという構造、もしかしたら通過儀礼としての旅という意味もあるのかな。 個人的にはパキスタンのモスクで助けてくれたグラサンのおじさんが印象的でした。かっこよかったです。

関西コミティア当日は、朝から雨が降っていました。電車を乗り継いでインテックス大阪へ。 予想していたよりも駅(トレードセンター前駅)からインテックスまでが遠くて、驚きました。雨天おすすめルートを案内に掲載してくれた関西コミティア運営さん、ありがとうございます。 今回当方のサークルは出入り口付近に配置されていました。出入り口から吹きこむ冷たい風で、ポスターが暴れる暴れる…。顔の左半分をポスターの端にばしばし叩かれました。目の前のスペースで掲示されている微動だにしないポスターを見ると、ポスター下部にスティック状のものが。あれはタペストリー的なものだったのだろうか…。 ちらほらとお買い求めくださる方、委託を手にとってくださる方がいました。ありがとうございました。 吹きこむ風で治りかけていた風邪がぶり返したような悪寒が。腹痛に耐えられなくなったので13時頃に撤収しました。寒かった…。 関西コミティアはわきあいあいとした雰囲気で、全体的にとてもクオリティが高い印象でした。絵馬乃神がそこらじゅうにいた。

次回のイベント参加は2/17のCOMITIA127、西1ホール1階スペースナンバーは「ほ41b」です。新刊ある予定です。よろしければお立ち寄りください。